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中津川市花戸町の動物病院 エリー動物病院

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麻酔について

当院では当然ながら最大限の注意を払って全身麻酔を行っています。
全身麻酔というと、わんちゃんやネコちゃんの場合、リスク面がよく取り沙汰されます。
『去勢や避妊手術も麻酔が心配だから悩んでしまう』『年をとっているから麻酔は無理だよね』
そんな話をよく聞きます。

確かに全身麻酔は『絶対に大丈夫!』とは言い切れません。
人の場合もそうですが、100%安全な麻酔薬というものは残念ながら存在しません。

実際麻酔はとても難しいものです。
使用する薬剤は数多く存在し、それぞれに薬用量というものが決まっています。
何と何を組み合わせるか?どれくらいの量を使うか?それだけでもいくつもの選択肢が考えられます。
患者も様々で、一人ひとり動物の種類、体重、栄養状態、年齢、持っている病気など全く異なります。
当然ながらその子それぞれの状態を見極めて適切に麻酔をかけるということが安全な麻酔に繋がります。

ちなみに、麻酔のリスクは実際にはどれくらいあるのでしょうか?
漠然と『麻酔は怖い』と思われがちですが、麻酔リスクに関わる大規模なデータがあります。

その子その子の状態からまずはクラス分けを行います。
ASA分類(American Society of Anesthesiologists 分類)という分類方法がペットの場合にも有効です。

ASA Class 患者の状態
Class Ⅰ 健康で鑑別できる疾患が無い 緊急ではない麻酔・手術
不妊、去勢 など
Class Ⅱ 健康であるが、局所疾患のみ有する  
もしくは軽度の全身疾患を有する
老齢動物、軽度の整形疾患
肥満、停留精巣、皮膚腫瘍 など
Class Ⅲ 重度の全身疾患を有する 慢性心疾患、発熱、脱水
貧血、開放性の骨折 など
Class Ⅳ 重度の生命に関わる全身疾患を有する 心不全、腎不全、肝不全、
出血、循環血液量の減少、
膀胱破裂、脾臓破裂、重度肥満など
Class Ⅴ 瀕死状態。
手術の有無に関わらず、
24時間以上生存の可能性が低い
ショック状態、多臓器不全
重度の外傷、末期腫瘍、
長時間の胃捻転 など


例えば元気で食欲のある若い子の場合はクラス1です。
意外かもしれませんが、お年をとっても、それだけでは分類としてはクラス2です。
クラスが高いほど勿論麻酔リスクは高くなります。
そして、それぞれのクラスによって麻酔リスクはこのようなデータが出ています。

動物種 ASA分類 事故数 / 麻酔症例数 死亡率

わんちゃんの
場合
 
Class Ⅱ以下 49 / 90618 0.05%
Class Ⅲ以上 99 / 7418 1.33%

ネコちゃんの
場合
 
Class Ⅱ以下 81 / 72473 0.11%
Class Ⅲ以上 94 / 6705 1.40%


このデータから見ても、健康な子でも残念ながら麻酔が命にかかわることはゼロではありません。
しかし、恐らく多くの方が心配されている老齢の子の麻酔リスクは、健康な若い子と同じに分類されていることがわかります。
また、病気を患っていて麻酔リスクがより高いと思われる子たちでも麻酔が原因で『半分は亡くなる』というようなことはないのです。

ただしこれは勿論、

  • ・麻酔をかける子たちの状態をしっかりと把握し、
  • ・慎重に麻酔をかけ、麻酔中も注意深いモニタリングや必要に応じた調整を欠かさず、
  • ・適切に麻酔から覚醒させ、
  • ・覚醒後も注意を怠ることなく慎重な術後管理を行う


ということができてこその結果です。

いずれがおろそかであってもその子の麻酔関連死のリスクは上がっているはずです。
だからこそ、当院ではこれらを最大限の能力を駆使して行っています。

例えば、全身麻酔に際しては全身状態の確認のため原則術前検査を実施しています。
血液検査やX線検査、必要に応じ超音波検査など他の検査も組み合わせ、
状態の確認とともに、起こりうるリスクを可能な限り想定して麻酔に望んでいます。
検査で得られた情報を元に適切な麻酔薬、点滴の種類や量、麻酔管理方法を選択します。

麻酔薬については『マルチモーダル鎮痛』という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
麻酔に使用する薬剤にはそれぞれメリットやデメリット(副作用)があります。
例えば一つの麻酔薬だけで一連の麻酔管理を行おうとすると、薬の量が増え副作用の可能性も増します。
相性の良い麻酔薬や投与方法をいくつか組み合わせ、それぞれの薬の副作用の発生リスクを軽減します。
また、麻酔薬は『効き所』が異なるので、麻酔薬の組み合わせは有利な相乗効果を生み出します。

こうした方法は同時に痛みに関しても有利に働きます。
痛みは麻酔の不安定化をもたらし、麻酔薬の増量にも繋がります。
逆にいえば、最適な鎮痛がより安全な麻酔に繋がります。
そして最適な鎮痛は、術後に動物たちが快適に過ごすことにも関わります。

様々な項目のモニタリングをし、
異常の見られる場合には直ちに補正を行います

また、モニタリングも最大限実施しています。
心電図、動脈血中酸素飽和度、血圧、呼吸数、呼気中の二酸化炭素量、体温など、モニターから分かる項目は当然ながら、呼吸様式、粘膜の色や各種の反射といった患者本人からの情報を注意深く観察します。
麻酔前から麻酔薬を切った後も、それぞれを慎重にモニタリングしています。
必要に応じ、動脈にカテーテルを入れて観血的な血圧モニターや、膀胱にカテーテルを入れて尿量のモニターなども行います。

麻酔中は体温も下がりがちなため
当院では温風マットを利用して
体温低下を防いでいます。

そうして無事に手術を終え麻酔から醒めたらあとは安心、というわけでもありません。
こちらも意外かもしれませんが、『麻酔関連死の約半分は覚醒後に起きている』というデータがあります。
当院では、手術が終わった覚醒後も気を緩めず、術後もICUでしっかりと診させていただいています。

術後の様子です。
温度や湿度、酸素濃度など
状況に応じて調整し、
術後しばらくはICUで過ごしてもらいます。

全身麻酔は獣医師や動物病院のスタッフにとっても『怖い』ものです。
大切な命を預かるということは生半可な責任ではありません。
どれだけ慎重に麻酔をかけたとしてもやはり絶対に大丈夫とは言い切れません。
ただ、絶対安全な麻酔というものは存在しませんが、『安心できる麻酔医や病院』は存在すると思います。
われわれがそうだとは言えないかもしれませんが、常にそうありたいと思いながら麻酔にあたっています。

麻酔をかけなければならない事態というのは様々な局面で訪れます。
当院を開業してから、高齢だから麻酔がかけれないと思い大きなしこりを抱えたまま過ごしてきた子、
麻酔が心配で手術を先延ばしにしていて夜間に急変してしまった子など、
もっと早くに麻酔をかけていたらもっと楽に過ごせたのに、と思う子に多く遭遇してきました。
麻酔をかけることが常に最善とは限りませんが、麻酔のリスクを正しく判定することで、
適切な選択肢をお伝えし、よりよい生活を送る助けになりたいと思っています。

高齢だけでは麻酔リスクが極端に上がることはありません。
疾患があってもそれに応じて麻酔をかけることは可能です。

当院では、必要な場合にはより安全に麻酔がかけられるよう最大限の配慮をしています。
手術や麻酔に関してお悩みのことがあれば是非遠慮なくご相談下さい。