尿管結石
- HOME
- 尿管結石
尿は腎臓でつくられた後、尿管を通って膀胱へ送られ、膀胱から尿道を通って体の外に排出されます。この通り道のうち、尿管にできた結石を尿管結石といいます。
膀胱から先の出口が詰まってしまう尿道閉塞とは違う病気です。
結石の種類は様々で、代表的なものにストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)やシュウ酸カルシウムがあり、そのほかにシスチンや尿酸塩などがあります。
この結石により尿管が詰まってしまうと腎臓から膀胱へ尿が送られなくなり、作った尿が腎臓に溜まり腎臓の組織を圧迫します。
片方のみの閉塞であればもう片方から尿が膀胱に送られておしっこもでますので、「おしっこが出ているから結石はありえない」とは言い切れません。
両方が詰まってしまった場合には体内の毒素が全く体の外に出せない状態になり、すぐに治療を行わないと命に関わります。
片方だけの閉塞であっても、もう片方の腎臓に大きく負担をかける状況になるために腎臓の寿命を縮め、慢性腎臓病へと進行していきます。
また、痛みを伴うことが多く元気や食欲がなくなることもあり、とにかく早い診断と治療が必要な病気です。
症状
- 片方だけが詰まっていたり、完全に閉塞していない場合には無症状のこともあります
- 血尿、頻尿、排尿困難などトイレで苦しむ様子がある
- 食欲や元気の低下
- 嘔吐をする
- ぐったりする
- 腰のあたりを触られるのを嫌がる
- 両方の尿管が詰まった場合には短時間で命に関わる可能性があります
検査
- 血液検査:腎機能や電解質のバランスなどを評価します。尿が全く出ないとカリウムという物質が急激に蓄積し、命に関わる不整脈を引き起こします。
- X線検査:ストルバイトやシュウ酸カルシウムなど多くの結石はX線で確認することができます。結石の数や位置、大きさを確認します。
ただし、尿管結石は非常に小さくX線でも検出できないことがあるため注意が必要です。
ある程度の大きさがあるとX線でも確認できます
位置や数を確認します
- 超音波検査:X線で見えにくい結石を発見するのに役立ちます。
詰まっている場合には尿がうっ滞するため、尿管や腎臓の内部が拡張します。
片方だけに結石がある場合でも、もう片方の腎臓のサイズや構造を確認し、腎臓の余力を推測します。
同時に膀胱結石の有無や炎症像、腹水の有無なども確認します。
左は正常の腎臓、右側は尿管が閉塞した腎臓です。
黒い部分は腎盂といって、尿が鬱滞して拡張しています。
閉塞の初期や完全に閉塞していない場合はこのように一部の拡張で済んでいます。
進行するにつれて腎盂の拡張も顕著になります。
右は完全に閉塞して時間も経ってしまったため尿が溜まりすぎてしまい、元々の腎臓の構造が押し潰されて全くわからなくなってしまっています。
広がってしまった尿管を辿っていくと詰まっている結石が確認できます。
- 尿検査:pHや比重、顕微鏡での結晶形状や細菌の有無を確認します。
結石がストルバイトだった場合には手術をせずに食事療法などで溶解できることがあるので、種類の特定はとても重要です。
治療
腎機能や電解質異常がある場合が多いため、点滴による入院管理をし、極力状態を改善させます。状態が安定している場合や完全に尿管が閉塞していない場合には点滴や痛みの緩和、尿管の攣縮を抑える薬などを使うことで自然に流れ出ることもあります。
しかし多くの場合は緊急で、尿が出ない状況を打開しないと改善の見込みがないため、全身麻酔下での閉塞解除が必要になることがほとんどです。
ただ、状態の悪い中で長時間の麻酔や手術が負担になることもあります。
そうした場合にはまずは鎮静や短時間の麻酔でお腹の皮膚から腎臓につながるカテーテル(経皮腎瘻カテーテル)を入れて応急的な尿の出口を作ります。
この処置によって尿の出口を確保し、体内に蓄積した毒素を排出させます。
動物の状況によりますが、腎瘻カテーテルから数日尿を出してあげることで状態が更に改善するため、その後にいよいよ結石を何とかする手術に取りかかります。
手術にはいくつかの方法があり、結石の数や位置、手術時の尿管の状態(経過が長いと尿管も血流が悪くなり、固くなったり狭窄したりしています)によって適した方法を選択します。
- 尿管切開術
結石がある部分の尿管を切開して結石を取り除きます。
切開した部分は再度その場で縫い合わせます。 - 尿管膀胱新吻合術
尿管が固くなったり狭窄してしまっている場合、悪い部分を切除し、良好な部分の尿管を直接膀胱につなぎ合わせます。 - SUBシステムの設置
SUBシステムとは、詰まってしまった尿管の代わりに腎臓と膀胱をつなぐ新しい通り道(カテーテル)を体内に設置する術式です。
ある程度の太さのカテーテルが設置できるため再閉塞のリスクは少ないのですが、定期的な詰まりの確認や洗浄が必要です。
設置は比較的短時間で済むため、状態が悪い場合などにも有効です。
尿管結石は迅速に診断をして治療しなければ命に関わります。片側のみの閉塞だったり完全に閉塞していない場合には目立った症状が出ないこともありますが、慢性腎臓病だと思っていたら実は尿管結石、という事態もよくみかけます。
とにかく早期に発見して適した治療をすることが腎臓の余力を残し、わんちゃんネコちゃんの健康寿命を伸ばすことに繋がります。
また、結石は体質や食事が原因で作られることが多いため、一度手術で解決してもそれで完治というわけではありません。急性期を乗り越えたあとも、再発をしないように食事療法や定期検診などしっかりと経過をみながら治療のご提案をさせて下さい。
上記のような症状がある場合は勿論、このページをご覧になって気になることがあればお気軽にご相談ください。また、腎臓病と思って治療を続けていたけれど、実はこの病気だったというケースが時折見受けられます。
特に、若いのに腎臓病と言われているという場合には結石が関わっている可能性があります。ご心配のある場合には是非一度しっかりとした診察をお勧めいたします。




