尿道閉塞

数日前から元気や食欲がなくなってきたとのことで来院されたわんちゃんです。
検査の結果、子宮に膿が溜まってしまう子宮蓄膿症という病気でした。

避妊手術をしていない女の子の場合、この病気になってしまうリスクは常に伴います。
発情出血後の1〜2ヶ月ほどは子宮に細菌感染が成立しやすい状態のため特に注意が必要です。

お腹の中に膿の詰まった袋があるため、全身に細菌の毒素がめぐってしまう可能性や、膿の溜まった子宮が破裂し、命に関わるリスクもある非常に危険な状態です。

自宅での処置は危険も伴うためあまりお勧めできません。
まずはお電話でご相談下さい。

トイレに何度も行くものの尿が出ないとのことで来院された猫さんですが、尿の出口がつまる尿道閉塞という緊急事態でした。
ちなみに、以前から同様の症状が何度かあったとのことでした。

尿道閉塞
出典:日本ヒルズコルゲート株式会社

尿の通り道のイラストです。
最後の通り道である尿道が塞がってしまう病気が尿道閉塞です。

尿道が詰まる原因は、結石、尿道栓子、血液の塊、腫瘍や炎症により尿道が狭窄することによります。
わんちゃんでもネコちゃんでもみられ、男の子に多くみられる病気です。
また、寒い時期に起こりやすく、飲水やトイレの環境にも注意が必要です。

尿道閉塞

尿が出ない状態が続くと膀胱はパンパンに膨らんでしまい、尿は逆流して腎臓にも負担をかけます。
たまった尿は腎臓の組織を押しやって構造を破壊し(水腎症)、急性腎不全を引き起こします。
さらにその状態が長引けば、本来尿に排泄されるべき物質が体に高濃度に蓄積され(高窒素血症・高カリウム血症)、不整脈から心停止に至ることがあります。

閉塞の原因と部位を突き止めて迅速に閉塞を解除すること、閉塞によって生じている腎障害の程度や一般状態の変化を把握し、それぞれに適確に対応していくことが必要です。

症状

血尿、頻尿(何度もトイレに行く)、尿が出ない・ぽたぽたと滴る、トイレで苦しそうにしている、など時に嘔吐や虚脱(ぐったりする)もみられることもある緊急事態です。

治療

この子の場合も軽度の急性腎不全を起こしてしまっていました。
また、尿道にカテーテルを通して閉塞を解除しましたが、尿道の一部がとても細く再閉塞も心配な状態でした。

ひとまず尿道にカテーテルを入れたまま点滴を行い、膀胱炎や尿道炎、急性腎不全の治療を行いました。
閉塞の一因にストルバイトという結晶も関わっていたため、療法食も開始しました。
翌日には血液検査での腎臓の数値は正常化し、数日でカテーテルを抜き、自力で排尿ができることを確認して退院となりました。

この後、療法食など治療を継続することで症状の再発がなければ良かったのですが残念ながらこの子の場合は数日後に再度閉塞を起こしてしまいました。

同様に閉塞を解除して治療を行いましたがやはり尿道の一部はとても細く、今後も再発を繰り返す可能性が高いと思われました。
こうした場合には、手術も治療効果の高い選択肢となります。

全身麻酔や術後の合併症のリスクもありますが、今後も閉塞を繰り返す可能性が高いことから、飼主様もその度にネコちゃんが辛い思いをすることを心配し、手術をするというご決断を頂きました。

手術

手術方法も多少のバリエーションがありますが、この子の場合は尿道包皮瘻という方法をとりました。
尿道は膀胱に近いほど通り道が太くなっているため、狭窄部分を含む細い尿道部分を切除して太い部分を残し、包皮の粘膜につなぎ直すという手術です。

尿道の太い部分のみが残るため、再閉塞を防ぐことができます。
(※100%防ぐことができる訳ではありません)
また、この方法の場合は外からの見た目は変わらないこと、尿道粘膜が表に出ないため術後の障害が起こりにくいことも特徴です。

術後暫くはカテーテルを入れたままにして入院が必要ですが、数日後にはカテーテルを抜き、自力で楽に排尿ができることを確認して、めでたく退院となりました。

退院後は自宅でもスムーズな排尿が可能でストレスもなくなり、飼主様も安心して過ごせるようになったと、とても嬉しい報告を頂きました。

尿道閉塞

抜糸も済み、毛も生えてくるとほとんど外見からはわかりません

尿道閉塞は短時間で命にかかわる可能性もある緊急疾患であり、迅速な治療が必要となります。
食事や飲水方法の変更などにより結石や結晶成分の発生を予防し、病気の発症や再発を防ぐことが可能な場合も多くあります。
手術は最終手段ですが、動物たちの苦痛を取り去る選択肢となりえます。

閉塞の原因や場所、経過時間により治療方法は異なりますので、疑わしい症状のある場合にはご相談下さい。

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